マレー半島縦断1800km『深夜特急』の旅⑨:イポー旧市街のアートと建築
2019年12月20日(金)
「マレー半島縦断旅」8日目。
本日は移動日。正午の列車で、イポーからクアラルンプールへ向かいます。
ホワイトコーヒー頂上決戦!「新源隆茶室」
■ イポー最古のコーヒーショップ
イポー最終日の朝食に選んだのは、初日に訪れた「南香茶餐室」の向かいに位置する「新源隆茶室」。
「南香」が一大コーヒーチェーンとなった「オールドタウン・ホワイトコーヒー」の元祖本店として有名なのに対し、「新源隆」は創業1937年と、イポー旧市街に誕生した最初のコーヒーショップと言われています。
周りを見ると、地元の皆さんは朝からワンタンミーなどの麺類を召し上がっているようですが、こちらは「ホワイトコーヒー」と「カヤトースト」をオーダー。
コーヒーカップを均一に覆っていた「南香」のキメ細かな泡に比べると、やや粗めの「新源隆」のホワイトコーヒー。でも味は不思議なことに、こちらのほうが甘いように感じました。
Sin Yoon Loong
イポー旧市街の壁画アートめぐり
■ 再び!アーネスト・ザカレビッチのアート
朝食後、そのまま街へと繰り出します。
今日の散策テーマは、壁画アートと建築めぐり。
ペナンをアートの街に変貌させた立役者「アーネスト・ザカレビッチ」は、その後イポーでも8つの壁画(うち2つは消失)を描いています。
オールドタウン・ホワイト・コーヒーのお店の壁面に描かれた「Old Uncle Drinking Coffee」や、コピの袋を描いた「Kopi-O」など、ホワイトコーヒー発祥の街イポーにちなんだ壁画も。
鳥がくちばしで、そばに生えている木を啄む様子を描いた「Humming Bird」。
鳥の羽ばたきや鳴き声が聞こえてきそうな作品です。
■ シンガポールのYipさんの作品
ストリートアートといえば、シンガポールを代表する「Yip Yew Chong」さんも、イポーでの壁画創作に参戦!
昔ながらの商店で店番をするおじさんを描いた「ケダイ・シン・マ」。
お店の名前を、シンガポールの「シン(星)」とマレーシアの「マ(馬)」と組み合わせた「星馬商店」と名付けたところに、両国の友好を願うYipさんの思いが込められているようです。
大・小、さまざまな壁画が溶け込んでいるイポーの街 。観光案内所や宿でもらえる地図や案内パネルなどを参考に、自分のお気に入りのアートを探しましょう!
Ipoh Mural Art Trail
イポーに残る歴史的建造物群
■ イポー旧市街のヘリテージ・トレイル
壁画アートをめぐりながら、徐々に旧市街の東側へやってきました。
イポー駅に近い東側には、多くのコロニアル建築が残っているので、「ヘリテージ・トレイル」に絶好のエリアです。
パダン広場の北側に見える優美な建物。
1912年に開校したローマ・カトリック系の男子校「セント・マイケルズ・インスティテューション」の校舎です。
- 鄭大平ビル(アーリーンハウス):1905年竣工。ネオ・クラシック様式
- バーチ記念時計塔:1909年完成。初代イポー総督J.W.W.バーチに捧げられたタワー。
- ペラ・ハイドロ・ビル:かつてマラヤ最大の水力発電会社の拠点
- S.P.H. デ・シルヴァ・ビル:イポー最古の商業ビルの一つ。ルネッサンス様式
ギリシア神殿のような列柱が壮麗な建物は、独立するまで街で最も高いビルだったという「香港上海銀行(HSBC)」。
最後に、イポー駅前までやってきました。
イポーの正面玄関を飾るにふさわしい堂々としたネオ・クラシック様式の建物。1914年から2年の歳月をかけて建てられた「タウンホール」です。
Ipoh Heritage Trail
■ 宿でチェックアウトの準備
壁画アートとコロニアル建築めぐりも、コンパクトな旧市街を一周して、2時間ほどで終了。
宿に戻って休憩しつつ、チェックアウトのための荷造り開始。
マレー鉄道で最も美しい「イポー駅」
■ 白亜のコロニアル建築!イポー駅舎
列車の出発は正午12時なのですが、イポー駅をちゃんと見たかったので、少し早めに到着しました。
いや〜、白亜の駅舎が青空に映えること!
駅の真向かいに建つ「タウンホール」と同じく、英国人建築家A.B. Hubbackによって設計された駅舎。
基本部分はヨーロッパの公共建築によく見られる古典的スタイルを踏襲しつつも、ムーア様式のドームや尖塔が取り入れられたコロニアル建築の賜物。
『イポーのタージマハル』と呼ばれているそうです(石碑談)。
■ 閉鎖になった駅上ホテルがよみがえる?
かつてイポー駅の2〜3階には「マジェスティック・ステーション・ホテル・イポー」があったのですが、残念ながら2011年に閉鎖。
しかし、ホテル入口のあった通路に、リノベーションで生まれ変わる「グランド・マジェスティック・ホテル」の完成予想図を発見!
後で調べてみると、新装開業予定は2023年とのこと(→参照サイト)。もしオープンしたら、是非泊まってみたいものです。
ありがとうイポー!また会う日まで
■ イポーの待合室
駅舎を見学し終えて、改札前の待合室へ。
イポーからクラアルンプールまでの切符はあらかじめ購入済み。1枚36リンギット(約900円)。
バタワース(ペナン)駅でもそうでしたが、マレー鉄道は、ギリギリにならないと構内に入ることができないようなので、改札が開くまで大人しく待機。
ポイント
今回の旅では、マレー鉄道の在りし日を辿るため、行き先はクアラルンプール駅を敢えて選択していますが、クアラルンプールには、クアラルンプール駅(Kuala Lumpur)とKLセントラル駅(KL Sentral)の2つの駅があります。
名前だけ見ると、首都の名を冠したクアラルンプール駅が中央駅のような印象がありますが、こちらは旧中央駅。
現在、市内交通の中心としての役割を果たしているのは、2001年に新設されたKLセントラル駅。空港行きのKLIAエクスプレス(KLIA Ekspres)や、KTM、LRTなどの各路線が乗り入れているのも、KLセントラル駅。
切符を買うとき、行き先の指定には注意してください。
■ イポー出発
結局、改札ゲートがあいたのは、発車10分前くらい。
構内には、すでに列車が到着していました。
荷物を片手に、いそいそと乗り込みます。
前回のバタワース〜イポー間と同様に、近代的な車両。座席も綺麗で快適そのもの。
定刻通り、正午12時に発車。
初イポーよ、さようなら!
宿のスタッフさん、お店の店員さん、タクシーのドライバーさん、地元の人のやさしさ・温かさに触れた3日間。ありがとうございました。
■イポー〜クアラルンプール間は約2時間半
イポーからクアラルンプールまでは、2時間半。
街を離れると、車窓にはプランテーション畑が延々と続きます。
■ 現れ始めた高層ビルや道路!いざ首都へ
Googleマップで現在地をチェックしてみると、クアラルンプールまであと少し。
タイからマレーシアに入国し、ペナン、イポーの2都市を経て、ちょうどマレーシアの真ん中あたりまでやってきました。
徐々に道路や高層ビルが出現し、周囲が都会の景色へと変わっていきます。
マレーシアの首都クアラルンプールに、いざ参らん!
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