アート散歩「Yip Yew Chong」壁画で巡るシンガポール原風景への追憶

[更新] 5作品(セサミストリート/チャイナタウン・ホーム/オペラ/コナン/サムスイ)を追加

最近シンガポールの街角でよく見かける「壁画アート」

なかでも、シンガポール草創期の原風景を温かみのあるタッチで生き生きと描く「Yip Yew Chong」さんは、最も人気のあるアーティスト。

Yip Yew Chong氏による壁画制作中の様子
下絵〜色付け〜仕上げと徐々に形作られていく作品
壁画アーティストYip Yew Chong氏
完成した作品の前でパチリ!

在住者はもちろん、2回目以降のシンガポール旅行に、壁画を巡るアートな街歩きはいかが?

 


ここに注目! YC壁画の楽しみ方


■ シンガポール的、昔懐かしのアイテム

シンガポーリアンの郷愁を掻き立てる懐かしのグッズの数々。外国人から見ても、イイ味出しています。

■ シンガポール名物のローカルフード

カヤトーストにサテー、クエにラクサなど、壁画にはシンガポールのローカルフードがいっぱい。全部食べたことありますか?

YipYewChongシンガポール名物

■ 最多出演賞! 名脇役は〇〇?

YC壁画で最多出演を誇るのは、ネコちゃん! あそこにも、ここにも、何気ない場面に登場し、存在感を放つ名脇役です。

YipYewChong最多登場のネコ

■ 署名を探せ!

遊び心ある署名も、YCアートの見所。絵のストーリーに溶け込むように入ったサインを探してみてください。

YipYewChong署名

■ エリアごとに、まとめて回ろう!

チェックポイントを押さえたところで、いよいよアート散歩に出発!

Yip Yew Chongさんの壁画のいくつかは、近い場所に固まっているので、エリアごとに回るのがおすすめ。

      >> エヴェートンロード周辺

      >> アラブストリート

      >> チョンバル

      >> チャイナタウン

      >> モハメド・アリ・レーン

      >> ウォータルーストリート

      >> チャンギ方面

      >> アンモキオ

      >> その他

 


エヴァートンロード周辺


Yip Yew Chongさんの記念すべき第1作・第2作・第3作が集まってるエヴァートンロード周辺。

■ Amah(Aug. 2015)

エバートンロードに面している壁に描かれているのは、「アマ」と呼ばれる家政婦さんが洗濯をしている場面。

YipYewChongエバートンロード
40 Everton Rd

頭上に干されているのは、シンガポールの民族衣装「ケバヤ(ブラウス)」「サロン(巻きスカート)」でしょうか。

華やかな模様と色が目を楽しませてくれます。

YipyewChong洗濯中のアマさん

■ Barber(Sep. 2015)

側道のほうの壁にはあるのは、「床屋」をテーマにした2作目。

足が届かない大きな理容チェアに頑張って腰掛けているチビッコ客の姿が初々しい。

YipYewChong床屋
39 Everton Rd

壁の水道管に吊り下げられている缶。現場にあるモノと絵を組み合わせるというトリックアート的な仕掛け。

YipYewChoungミルクメイド缶

■ Provision Shop(Dec. 2015)

50年代〜80年代の「雑貨屋」をテーマにした壁画。

氷の販売や駄菓子屋、豆乳売りのリヤカーなど、今は見なくなった古き良き時代が蘇るシンガポール版「Always 三丁目の夕日」といった作品。

YipYewChong雑貨店
8 Spottiswoode Park Rd

YipYewChong豆乳売りのおじさん

 


アラブストリート


■ Coffee Story(Dec. 2015)

かつて「A.R.C Cafe」というカフェがあった3階建のショップハウスの壁面一杯に描かれている「コーヒーストーリー」

YipYewChongコーヒーストーリー
29 Sultan Gate (A.R.C. Caféは閉店)

昔ながらの方法でコピを入れているおじさんがいる一方で、エスプレッソマシーンから抽出されるコーヒーやラテアートなど、新旧のコーヒーが競演。

壁の左端に「テ・タリ」を注ぐ名物おじさんがいるのも、アラブストリートならでは。

YipYewChongコーヒー今昔

■ Satay Club(Jul. 2016)

かつてビーチロード周辺にあった「サテー屋台」を描いた作品。

YipYewChongサテークラブ
9A-13 Jalan Pinang(Hotel NuVe)

■ Kampong Gelam(Aug. 2016)

ムスリム(マレー系移民)の多いカンポングラム地区にあったという、メッカ巡礼のための品物を揃えた商店。

YipYewChongカンポングラム
9A-13 Jalan Pinang(Hotel NuVe)

バスケットの間から顔をのぞかせる隠しキャラ!

YipYewChongモスク

Watching Sesame Street, 1969(Mar. 2019)

1969年の放送開始から50周年を記念して制作された、セサミストリート」とのコラボ作品

YipYewChongセサミストリート50周年記念コラボ
Bugis Junctionの中庭(展示終了)

チョンバルに描いた作品Homeの構図をもとに、ソファでくつろぐビッグバードが、白黒テレビでセサミストリートの番組を見ているというもの。

 


チョンバル


■ Bird Singing Corner(Mar. 2016)

YipYewChongバードコーナー
Blk 71 Seng Poh Lane

いくつも吊り下げられた鳥籠に下で、コーヒーを飲みながら語らう鳥のオーナーや愛好家たち。

かつては週末ごとの恒例だった「バードコーナー」も、周辺の再開発・ホテル建設などによって閉鎖され、チョンバルから姿を消してしまった風景の一つ。

YipYewChong鳥かごを狙う猫

■ Home(Mar. 2016)

チョンバルはシンガポールで最初にHDBが建てられたエリアの一つ。

70年代の家がテーマの「ホーム」に描かれているのは、当時あこがれの家電であった白黒テレビや黒電話。

YipYewChongホーム
Blk 74 Tiong Poh Rd/Eu Chin St

新聞の一面には、シンガポールの初代首相であるリー・クアンユー氏や、「鉄の女」サッチャー元英首相の姿が!

YipYewChongテレビと新聞

■ Pasar&the Fortune Teller(Apr. 2016)

YipYewChongチョンバルの路地裏に描かれた壁画アート
Blk 73 Eng Watt St

マレー語でマーケットを意味する「パサール(Pasar)」

買い物をする親子の姿や、ホーカー屋台で食事する人たち。そして市場のそばで店開きする「占い師」。

マーケットのにぎわいが伝わってきます。

YipYewChong市場

YipYewChong占い師

 


チャイナタウン


■ Thian Hock Keng Mural(Apr. 2017)

昔、海岸線であったTelok Ayer Stに建つ「シアンホッケン寺院」の外塀に描かれた、約44mにわたる超大作

YipYewChong天福宮壁画
158 Telok Ayer St

現在の中華系シンガポーリアンのルーツとなったのが、2週間にも及ぶ危険な舟路を経て、中国南東部の沿岸地方(福建省)からやってきた移民たち。

Telok Ayer Bayに無事到着した人々は、航海の守護神「天后聖母(媽祖)」を祀るシアンホッケン寺院を詣で、航行成功の感謝を捧げました。

YipYewChong福建からの移民

壮大な叙事詩のような壁画には、故郷・家族との別れから、シンガポールで発展・成功していくまでの道のりが描かれています。YipYewChongシンガポール叙事詩

壁画の中央部で、ひときわ華やかに描写されているのは、「天后聖母(媽祖)」像を担いでの行進の様子。

YipYewChong天后(媽祖)像を祀る行進

■ Letter Writer(Feb. 2018)

テーブルで文字を書いているのは、「代筆屋」のおじさん。

その昔、文字の読み書きができない移民たちに代わって、中国に残してきた家族への手紙を代筆する大切な役割を担っていました。

YipYewChongレターライター
336 Smith St

■ Cocoadaia(Jun. 2018)

Amoy Stにある小さなマフィン屋さん「Cocoadaia」

店内の壁には、オーナーである2人の姉妹が、石窯の薪オーブンでマフィンを焼いている様子が描かれています。

YipYewChongココアダイア
54 Amoy St(Cocoadaiaは閉店)

■ Mid-Autumn Festival(Sep.2018)

カラフルな灯篭に、テーブルに並ぶ月餅。この2つが欠かせないお祭りといえば、「中秋節」

作品の場所は、シンガポール最大のランタン・フェスティバルが開催されるチャイナタウン。駅の出口Aを上がってすぐ、パゴダストリートの横道の壁に描かれています。

YipYewChong中秋節
83 Pagoda Street back alley

My Chinatown Home(Apr. 2019)

Yip Yew Chongさんが幼少期を過ごしていた長屋を再現した作品。

YipYewChongチャイナタウン・ホーム
30 Smith St

蚊取り線香やカセットプレイヤーなどの懐かしのアイテムから、壁のヤモリ、天井から吊るされた棚など、実際の思い出をもとに描かれたオマージュ的作品

YipYewChongチャイナタウン・ホームのキッチン

Cantonese Opera(Apr. 2019)

テンプルストリートの2階建の壁面に、きらびやかな「広東オペラ」のステージが出現。

YipYewChong広東オペラ
252 South Bridge Rd(Temple St側の外壁)

YipYewChong広東オペラのサイド

舞台のまわりは、つめかける群衆と、観客相手に商売する人たちで大賑わい。

『チャイナタウンに広東オペラの絵を描く』という、Yip Yew Chongさんの長年の夢が実現した作品です。

Detective Conan in Chinatown(May 2019)

チャイナタウンの露天でドリアンを味見しているコナンくん

シンガポールを舞台にした劇場版アニメ『名探偵コナン 紺青の拳』の公開にあわせて、描かれたもの。

YipYewChong名探偵コナン
266 South Bridge Rd(Temple St側の外壁)

ブルーサファイアや怪盗キッドのマークなど、映画にまつわるアイテムが壁画の中に隠されています。

 


モハメド・アリ・レーン


エリアとしては、チャイナタウンの中に位置する「モハメド・アリ・レーン(Mohamed Ali Ln)」

この狭い路地には、それぞれにタイトルをもつ4作品が集まっています。

YipYewChongモハメドアリレーン

■ Paper Mask & Puppet Seller(Oct.2018)

モハメドアリ・レーンに最初に登場したのは、「お面と人形売り」のおじさん。

1980年代のチャイナタウンで人気者だったのが、カラフルなお面や人形をカートに山積みして売り歩く行商人。

実在した人物「Yeo Ban Kok(楊万国)さん」がモデルになっています。

YipYewChongお面と指人形売り
Mohamed Ali Ln

■ Mamak Store(Oct.2018)

Yip Yew Chongさんの幼少期の記憶をもとに、サゴ・レーン(Sago Ln)に実在していた「Mamak Shop」を描いた作品。

YipYewChongインド系イスラム教徒の売店
Mohamed Ali Ln

露台でくつろいでいるのは、お店のご主人Abdul Kadirさん

ん? 上からカゴが降りてきましたよ?

『どうなってるの?』の答えは、次の絵で明らかに!

■ The Window(上)& Lion Dance Head Maker(下)(Oct.2018)

モハメド・アリ・レーンの一番奥では、高い壁面を利用して、文字通り1階と2階の2つの場面を再現。

YipYewChong獅子舞の造形師と窓
Mohamed Ali Ln

「窓」というタイトルの2階部分は、異なる民族が一緒に暮らしていたショップハウスの日常を切り取ったもの。

右窓の部屋に住むのは、「Mamak Store」を営むKadirさん一家。先ほどカゴを上から降ろしてきたのは、奥さんだったようです。旦那さんのお昼ゴハンでも入っているのでしょうか?

左窓の部屋はLeeさん一家。1階部分に描かれているのは、「ライオンダンスの獅子面づくり」に精を出すお父さんの作業場です。

 


ウォータールーストリート


シンガポールの有名男子校「公教中学」の80周年を記念して、1935年の開校当時の校舎であった建物に描かれた「ヘリテージ壁画」3部作。

扉(ドア)を利用した構成は、奥行きと臨場感を生み出しています。

■ National Library & MPH(Apr. 2016)

YipYewChong図書館
51 Waterloo St

よく見ると、学生証には画家本人の名前が! 芸が細かい!

YipYewChong図書館カード

■ National Theatre & Odeon Cinema(Apr. 2016)

1950年代〜80年代まで大衆娯楽の中心だった「国立劇場」「オデオン・シネマ」。上映中のポスターには、ロッキーやスターウォーズ、酔拳など懐かしの名作ぞろい。

YipYewChong映画館
51 Waterloo St

■ Army Market & NCO Club(May 2016)

シンガポールで「ナショナルサービス(兵役)」の制服といえば、グリーンの迷彩服に黒ブーツ。この格好は、昔も今も変わっていないようですね。

YipYewChongアーミーマーケット
51 Waterloo St

 


チャンギ方面


■ Kampung(Nov. 2015)

YipYewChong村

豊かな自然の中で、パパイヤをとったり、釣りをする子供たち、そして動物たちなど。

現在のシンガポールではあまり見なくなってしまった「村」での暮らしぶりが垣間見れます。

YipYewChong村の生活
450 Upper Changi Rd(Palmwoods Condominium)

■ Changi Village(Oct. 2016)

店舗の壁と窓を生かした壁画「チャンギビレッジ」。古い家屋の窓から子供たちが覗いています。

YipYewChongチャンギビレッジ
57 Lorong Bekukong(Tang Tea House)

■ Singapore Rojak(Jul. 2018)

チャンギ空港ターミナル4の地下1階(パブリックエリア)に描かれているのが、約37mの大作「シンガポール・ロジャ」

YipYewChongチャンギ空港ターミナル4の地下1階
Changi Airport Terminal 4, B1

作品名である「ロジャ(Rojak)」とは、シンガポールで親しまれているローカルフードの一つであると同時に、もともとマレー語で「ごちゃ混ぜ」を意味する言葉。

多民族・多文化が共存しているシンガポールの隠喩として、名付けられたのでしょう。

YipYewChongシンガポール・ロジャに登場するローカルフードの数々

そんな多様性の代表例が、シンガポールの食文化。屋台には、ナシレマ、ロティプラタ、チャークイティオ、チェンドルなどが並んでいます。

YipYewChongニョニャ・クエ

美しいタイル装飾や、色鮮やかなニョニャ菓子など、独自の伝統が根付く「プラナカン文化」

「中秋節」を彩るランタンと月餅があれば、ヒンドゥー教の花飾りもあり。

YipYewChongランタンと月餅&フラワーショップ

中華・マレー・インドなど、多彩な文化の「ごちゃ混ぜ(ロジャ)」であるシンガポールを体現した壁画は、シンガポールの玄関チャンギ空港を飾るにふさわしい作品です。

Samsui(Apr. 2019)

チャンギ空港の新施設ジュエルにオープンしたレストラン「Sumsui」のために描かれたもの。

YipYewChongサムスイ
Changi Airport Jewel #03-201(Samsui Restaurant)

レストラン名の由来であるサムスイ・ウーマンを連想させる「赤い頭巾」を中心に、背景の植物模様や、実物のランチボックスなど、抽象的な描写スタイルインスタレーションを組み合わせた今までにない作品

 


アンモキオ


■ Reminiscing Ang Mo Kio(Mar. 2018)

シンガポール郊外のベットタウン「アンモキオ」

古くは福建語で「紅毛橋」(現在の表記は「宏茂橋」)と呼ばれた地名は、シングリッシュで白人を指し示す俗語「アンモー」と、橋を意味する「キオ」に由来。

昔、この周辺一帯を繋いでいたと言われる「9つの橋」を蘇らせたものが、Kebun Baru Marketの壁画です。

YipYewChong9つの橋(Kebun Baru Market)
Blk 226 Ang Mo Kio Ave 1(Kebun Baru Market)

向かい側の壁に描かれているのは、たくさんの鳥籠。

アンモキオは、週末ごとに鳥愛好家たちが集う「バード・クラブ」が存続している数少ないエリアなのです。

YipYewChongバードクラブ(Kebun Baru Market)
Blk 226 Ang Mo Kio Ave 1(Kebun Baru Market)

Teck Ghee Court Marketの一角に広がるのは、昔のアンモキオにタイムスリップさせるような情景。

YipYewChongアンモキオの追憶(Teck Ghee Court Market)
Blk 341 Ang Mo Kio Ave 1(Teck Ghee Court Market)

台所で料理する音、売り子の掛け声や、ニワトリや家畜の鳴き声など、暮らしの音が今にも聞こえてきそうな作品です。

YipYewChongアンモキオの追憶(Teck Ghee Court Market)

ネコちゃんも2箇所に登場していますので、ぜひ探してみてくださいね。

 


その他


History of the National Museum of Singapore(May 2017)

国内最古の博物館である「シンガポール国立博物館」の歴史と逸話をまとめた作品。円形大広間の階段裏に設置されています。

YipYewChongナショナルミュージアムの歴史
93 Stamford Rd(Singapore National Museum)

■ Memories of Plaza Singapura(Sep. 2016)

Dhoby Ghaut駅に隣接している「プラザ・シンガプーラ」

1970年〜90年、1990年〜2010年、そして現在(2016年)と、3世代にわたる変遷が描かれています。

ウルトラマンやどらえもん、キティちゃんにピカチュウなど、日本人にも馴染みのあるキャラクターが、たくさん登場していますよ。

YipYewChongプラザ・シンガプーラの思い出
68 Orchard Rd, Plaza Singapore(1F)

■ National Day(Aug. 2018)

8月9日はシンガポールの独立記念日。

ショッピングモール「ハーバーフロントセンター」の通路に描かれているのは、シンガポール草創期の「ナショナルデー」の様子。

YipYewChongナショナルデー
HarbourFront Centre(2F Northlink)

花火に屋台、そしてHDBに掲げられた国旗

建国から50数年で、目覚ましい発展・変化を遂げたシンガポールですが、国家一丸となって建国を祝う人々の笑顔は、今も昔も変わりません。

 


上記以外にもたくさんあるYip Yew Chongさんの作品。

現在も精力的に活躍されていることからも、また新しい壁画アートが生まれる可能性も大。

引き続き、Yip Yew Chongさんの創作活動に注目して、随時アップデートしていきます!

Yip Yew Chong

にほんブログ村 海外生活ブログ シンガポール情報へ