【2023年】シンガポールで体験するヒンドゥーの奇祭「タイプーサム」

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【更新】2023年は2月5日(日)開催

ヒンドゥー教のお祭り「タイプーサム」

“10番目の”を意味する「thai」という語と、“月が最も輝くとき”を意味する「pusam」が組み合わさって「Thaipusam」。

文字どおり、タミル暦で「Thai」にあたる月の、満月の日に執り行われる年に一度の行事です。

コロナ禍により、2021年・2022年と縮小開催となっていたタイプーサムですが、2023年は2年ぶりに「巡礼行進」も復活。あの熱気が戻ってきます!

しかも今年は開催日が、2月5日の日曜日ということで、おでかけにもぴったりのタイミング。

インド本国ではすでに禁止となってしまったヒンドゥーの奇祭を目撃するチャンスです。

 


ヒンドゥー教の奇祭「タイプーサム」とは


■ ムルガン神を讃える祭典

タイプーサムで主役となるのは、勝利を司る軍神ムルガン(Murugan)

スリ・タンダユタパニ寺院のムルガン神
孔雀に乗り、槍を持った姿のムルガン神

シンガポールのフォートカニングにある「スリ・タングユタパニ(Sri Thendayuthapani)寺院」は、このムルガン神を祀る寺院として知られており、タイプーサムのイベントでは中心的な役割を果たします。

 

■ 2日間に渡って開催されるタイプーサム

前日と当日の2日間にかけて行われるタイプーサム。概要は下記のとおり。

【前日】:ムルガン神の御神体を乗せた山車が、「スリ・タングユタパニ寺院」から、ケオン・サイク・ロードの「ラヤン・シチ・ヴィナヤガー(Layan Sithi Vinayagar Temple)寺院」まで巡行します。

【当日】ファーラーパーク駅前の「スリ・スリ二ヴァサ・ペルマル寺院(Sri Srinivasa Perumal)」から、「スリ・タンダユタパニ寺院」までの信者たちによる巡礼行進。

 


2023年復活!タイプーサムの巡礼行進


儀式のハイライトとも言えるのが巡礼行進。2021年、2022年は、コロナ禍で中止された巡行が、2023年は復活!

毎年、数万にものぼる敬虔な信者が、誓願成就を求めて、ムルガン神を祀る寺院への行進に参加します。

■ タイプーサムの巡行ルート

ファーラーパーク駅前の「スリ・スリ二ヴァサ・ペルマル寺院」から、巡行スタート。

セラングーンロードを直進し、ドビーゴートを通過、タンクロードから最終地点である「スリ・タンダユタパニ寺院」へと目指します。

※上記は、過去に開催されたときのルート。今年のルートとは若干異なる可能性もあります。

 

■ スリ・スリ二ヴァサ・ペルマル寺院から出発

タイプーサム当日、スタート地点である「スリ・スリ二ヴァサ・ペルマル寺院」は、早朝から異様なほどの熱気に包まれています。

爆音で流れる音楽と、信者にかけられる声援や祈祷。親族や関係者、そして多くの見物人が見守る中、出発準備を整えていきます。

特に、受難・苦行の体現する「カバディ(Kavadi)」や、針や串でのピアシングは、1ヶ月前から精神的・肉体的に準備を整えてきたもののみが耐えうる神聖な行為です。

タイプーサムの行進はスリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院からスタート
スリ・スリニヴァサ・ペルマル寺院から出発

寺院の正門に信者一行が現れるたびに、花びらが巻かれ、一層盛り上がる周囲からの応援。

シンガポールにおけるタイプーサムの行程は、ここから「スリ・タンダユタパニ寺院」まで約4.5kmの道のり

神への恭順と感謝を一歩一歩に込めた行脚の始まりです。

タイプーサム出発する行列

セラングーンロードの沿道からは、寺院を出てきたばかりの参加者と、その家族・親族の一行を間近で見ることができます。

先頭に立つのはお父さんでしょうか。貫禄すら感じさせる堂々とした姿で進んで行きます。

タイプーサム:ダンスしながらの行進

後ろに続く若者は、音楽に合わせてステップを踏むかのような軽やかな歩み

串や針で体に固定されたカバディ

最大で40kgほどの重量があるというカバディ。四方から張り巡らされた針や串で、信者の体に固定されています。

タイプーサム:スパイク付きカバディ

カバディを背負う以外にも、「苦行」の形態はさまざま。

針で舌と頬を突き刺している人。これは「話すことを犠牲として捧げます」という贖罪のしるし

タイプーサム:舌にピアスする信者

背中に、ライムのぶら下がったフックをたくさんつけている人。

タイプーサム:ピアスでぶら下げたカラマンシ

木製カバディ(Paal Kavadi)を運ぶ男の子。

シンガポールでは、16才未満の参加者が、針や串でピアシングするのは禁止されています。

タイプーサム:男の子

 

■ ヒンドゥー教における象徴学的シンボル

それぞれに異なる装飾と色が使われ、どれ一つとして同じもののないカバディですが、共通する点もいくつか。

それらがヒンドゥー教で、どのような意味を持つのか興味が湧いたので、調べてみました。

タイプーサム:スナップ

【孔雀の羽】:ヴィジュヌ神の乗り物として、ヒンドゥー神話に登場する伝説の鳥「ガルーダ」の羽から創造されたとされる孔雀。その羽は、幸運のシンボルとされ、多くのヒンドゥー教徒の家に飾られています。

【サフラン色】:オレンジ・イエローのサフラン・カラーは、闇を焼き払い、光をもたらす「火(アグニ)」を表す聖なる色

ヒンドゥー教では聖なる色とされるサフラン色を纏った信者たち
サフラン色を纏い、神への供物「ミルク壺」を運ぶ信者たち

 

■ 終着地「スリ・タンダユタパニ寺院」

「スリ・タングユタパニ寺院」に続々と到着する信者たち。

彼らは運んできたミルク壺を神前に捧げ、誓約を果たした証として、聖なる灰を受け取ります。

スリ・タンダユタパニ寺院の至聖所
ムルガン神像を祀る至聖所

奥の至聖所では、僧侶たちが、軍神ムルガンのシンボルである槍(Vel)に、集めたミルクを注いでます。

 

■ 興奮と熱狂の中で、昇華される普遍の祈り

苦行の中で、ひたすらに前を向き、進んでいく信者たち。

「神を敬い、家族を想う」ー宗教・時代を超えて、変わることのない普遍の思いに心打たれます。

タイプーサムの夜の満月
タイプーサムの夜、空に輝く満月

人間の根源的なパワーに触れることができる貴重な祭事。シンガポールで是非体験してみてください。

Thaipusam

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