英国軍コロニアルバーの残照「Colbar」シンガポール洋食ノスタルジー
都心部から少し離れたシンガポールの西部。
ワン・ノース駅周辺から伸びるポーツダウン・ロードのずっと先にある「ウェセックス」と呼ばれる一帯。
駅からも遠く、本数の少ないバスが時折止まるのみ。そんな辺鄙な場所で、営業している一軒のお店があります。
知る人ぞ知る老舗食堂「コルバー(Colbar)」です。
1950年代の雰囲気を残すレトロ食堂
■ 旧英国軍人の御用達「コルバー」
この周辺に駐屯していた英国軍人が集まる食堂として、はじまった「コルバー」。
創業1953年という、シンガポールの建国より古い歴史を誇ります。
以来、「コルバー」として親しまれるようになったお店は、その看板を掲げ続けて半世紀以上。
今日も、ウェセックスの豊かな緑の中に埋もれそうになりながら、昔と変わらぬスタイルを貫いています。
■ 創業時のスタイルは変わらぬまま
創業1953年という、シンガポールの建国より古い歴史を誇る「コルバー」。
鬱蒼としげる木々のアプローチを進むと見えてくる、鮮やかなターコイズブルーの壁に、赤文字で書かれた「COLBAR」の看板。
一度、高速道路の高架建設のために、創業時のJalan Hang Jebatから、現在のWhitchurch Rdに移転したものの、その原形は変わらぬまま。
■ 「コルバー」の記憶がつまったアイテム
ドアの目の前を我が物顔で占拠しているのは、年季の入った体重計。昔も今も、コルバーの守り主のように、入口に鎮座しています。
室内は、注文・支払いをするカウンターのある入口のスペースと、その隣の部屋にある10畳ほどのインドア席という作り。
黒ずんだ壁や床に、使い古されたテーブルとイス。部屋の片隅で回っている扇風機。
そして、額縁の色あせた写真たち。
一つ一つのアイテムが、このコルバーが紡いできた年月と、その物語を教えてくれます。
平屋の半分は、屋根のみの半屋外スペース。
もちろんエアコンなどはありませんが、吹き抜ける風と四方を囲む木々の緑が気持ち良いテラス席です。
ここに陣取って、食事が運ばれてくるまで、ゆったりと休憩します。
中華×西洋!シンガポール的洋食
参考までに、メニューはこんな感じ。サンドイッチなどの軽食から、肉系のメイン、ローカルの麺や飯ものなど、幅広いラインナップ。
前述した入口のカウンターで、注文・支払いを済ませましょう。
■ 洋食の王道「ポークチョップ」
コルバーの人気No.1「ポークチョップ」。
日本では、そこまで馴染みのない料理ですが、シンガポールではローカルの食堂などで「ウエスタン・フード」といえば必ず出てくる洋食の王道メニューです。
肉厚のボリューミーな豚肉が2枚。そこにトロミのあるブラウンソースがたっぷり。
ウエスタンと中華風を折衷したような味付けが、日本人の口にも合う「ハイナンニーズ・ポークチョップ」です。
■ イギリス名物「フィッシュ&チップス」
イギリスを代表する料理といえば「フィッシュ&チップス」。
揚げたての白身魚は、外はカリッと中は柔らか。シンプルですが、美味しい一皿。
その昔、英国軍の兵士たちも故郷を懐かしみながら、この「フィッシュ&チップス」を食べていたのでしょうか?
■ スペシャルな具沢山「フライドライス」
こちらの「フライドライス」は、ただのフライドライスではありません!
何たって「フライドライス・スペシャル」なのですから。
見てください、この色鮮やかなトッピングの数々を!
キュウリやトマト、ハム、おまけに目玉焼きまで乗った、まさに具沢山の大盤振る舞い。今どきのインスタ映えではないけれど、お客さんを楽しませようという心意気に、ほっこりする一皿です。
車でないと、なかなかアクセスしづらい場所ですが、MRTのワンノース駅もしくはブオナビスタ駅からタクシーで10分もかかりません。
いつもと違う体験・気分を味わいときなどに、お出かけしてみてはいかがでしょう。
Colbar
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