一皿最安160円?ミシュラン一つ星に輝いたシンガポールのホーカー飯
2016年に初刊行された「ミシュランガイド」シンガポール版。
日本でも有名な「ロブション」などの高級レストランに混じって、「ホーカー(Hawker)」と呼ばれるフードセンターの小さな屋台2軒が「ミシュラン一つ星」に選ばれたということで、大きな話題になりました。
- リャオファン・香港・ソヤソースチキンライス&ヌードル
- ヒルストリート・タイホア・ポークヌードル
2017年度も星を落とすことなく、2年連続で一つ星をキープした両店。
今回、この2店を巡って、シンガポールの「ミシュラン飯」をチェックします!
香港風チキンライス&ヌードル「リャオファン」
■ 屋台からレストランへとビジネス拡大中
まずは1軒目「リャオファン・香港・ソヤソースチキンライス&ヌードル」。
チャイナタウンの「スミスストリート」に2店舗を構える「リャオファン」。
最初に目に入ってくるのが、78 Smith Stにある路面店。こちらはミシュラン獲得後にオープンした2号店で、座席数80、エアコン完備の最新型。
もはやホーカーというより、レストランといった感じの支店は、観光客にも入りやすそうな雰囲気。
もう1店の「リャオファン」は、新店の向かいに建つ「チャイナコンプレックス」2階。
250以上のストールがひしめく巨大ホーカーの中でも、とりわけ長い行列ができている「#02-126」の屋台。
ここが「リャオファン」の原点であり、ミシュランの1つ星に選ばれたお店です(2号店はビブグルマン)。
お店の前では、ミシュラン・シェフとして一躍有名になった屋台のご主人、チャン・ホンミン氏(Mr. Chan Hon Meng)が取材を受けていました。

■ 世界一安いミシュランは$2のホーカー飯
メニューを見ると、シグニチャーのチキンライスのほうが$2、チキンヌードルのほうが$2.5。
どちらも一皿が約160円〜200円という「世界一安いミシュラン」です。
いざ実食。
こんがりした焼き色と照りが美しいチキンに、期待が高まる「チキンライス」。
骨が結構ある部位だったのが残念でしたが、ローストされた皮の甘みと、中のしっとりした肉のカンジは悪くはありません。
しかし、リャオファンは「香港・ソヤソース・チキンライス&ヌードル」という屋号のとおり、「香港風」で、かつ「ソヤソース」が特徴。
鶏の出汁で炊かれた「海南風」チキンライスと異なり、リャオハンのご飯はプレーンなジャスミンライス。正直パサパサしていてイマイチ…。
しかもドバッとかけられたダークソースの味が全てを凌駕していて、ソース飯という印象。
いくら$2でも、「チキンライス」はリピもおすすめもなし。
ライスと比べて、「チキンヌードル」のほうはアタリでした。
骨もなく、肉厚なチキン。コシがあって喉ごし抜群の細い卵麺。
ミシュラン一つ星に値するかどうかは賛否があると思いますが、約200円でこの味とボリュームなら、コストパフォーマンスの高い一皿であることは間違いなし。
食べるなら、断然「チキンヌードル」がおすすめです。
■ リャオファンの行列対策・おすすめ時間帯
平日の営業前(9時45分〜10時くらい)に並ぶべし。
開店時間の10時半よりちょっと早目にお店が開くことが多いので、開店後はそれほど待たずに、食事にありつけるはず。
[Liao Fan Hong Kong Soya Sauce Chicken Rice&Noodle/了凡 香港油鶏飯麺]
335 Smith St, #02-126 Chinatown Complex, Singapore 050335
バクチョーミーひとすじ「タイホア」
■ 唯一無二のミシュラン屋台への最短ルート
続いては2軒目「ヒルストリート・タイホア・ポークヌードル」。こちらは公団(HDB)内のホーカーにあります。
お店へは最寄りのラベンダー(Lavender)駅から、駅前の大通りビクトリアストリート経由で行くことも可能ですが、かなりの大回り。
最短ルートは下記のとおり。
①ラベンダー駅のA出口を上がる。
②ICA(入国管理局)ビル正面の通路を左側へ
③橋を渡ってクローフォード公団へ。

④466号棟を目指す(橋を渡ってから右へ)。

1階にあるフードコートは、規模も店舗数もそれほど大きくはないので、「タイホア」のストールはすぐ見つかるでしょう。
この小さな屋台が、支店を持たない「タイホア」のミシュラン飯を味わえる唯一の場所です。
■ 1杯にかける情熱に比例する待ち時間?
タイホアの名物は、「バクチョーミー(肉脛麺)」と呼ばれる豚肉のそぼろを載せた麺料理。スープの有・無、麺の種類をチョイスできます。
値段はサイズによって、小$6、中$8、大$10。
狭いカウンターの中で、ご主人自ら腕を振るって、一杯一杯丁寧に作っていきます。
長い待ち時間の末、ようやくゲットした一皿がこちら。
麺の上には、豚ひき肉のそぼろ、レバー、フィッシュボール、ワンタンなどの具がたっぷり。麺の下には黒酢が効いたタレ。全部混ぜ混ぜしていただきます。

茹で加減がパーフェクトの平たい卵麺は、モチモチしていて美味しい!
平麺によく絡んだ黒酢タレは、混ぜることで更にまろやかになったのか、ツーンとした感じは皆無。
歯ごたえのあるそぼろに、柔らかいレバーといったように、それぞれに食感の異なる具が、一口一口に変化を添えます。
バクチョーミー初体験でミシュラン一つ星。あっという間に完食しました!
■ タイホアの行列対策・おすすめ時間帯
開店前には整理番号が配布されると聞いたので、平日の朝9時、開店の30分前に行きました。
その時点での整理番号は「14」。14番目にも関わらず、バクチョーミーを手にしたのは、2時間後の11時!
並んでいる人の多くが、家族や友達のために大量に注文していきます。つまり14番目は、14杯目ではなく、約140杯目(一人が10杯くらいの注文するとして)と考えるほうが正解。
朝の開店前に並ぶという戦法は、完全に失敗でした。
ということで、タイホアの攻略法は未だに見出せず…。次回は、他の時間帯にトライしてみたいと思います。
[Hill Street Tai Hwa Pork Noodle/吊橋頭 大華豬肉粿條麵]
466 Crawford Ln, #01-12, Singapore 190465
国内外にも次々に出店していく「リャオハン」と、唯一無二の店舗にこだわる「タイホア」。対照的な道を進む2つのホーカーから、今後も目が離せません。
シンガポールのミシュラン飯、一度試してみてはいかがでしょうか?
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