「オリエント急行」の終着地イスタンブール!シルケジ駅&ゆかりの地
『深夜特急』番外編に続き、イスタンブールで忘れてはならない鉄道ネタといえば、伝説の豪華列車「オリエント急行」。
イスタンブールに残る終着駅「シルケジ駅」と、アガサ・クリスティーが『オリエント急行殺人事件』を執筆したといわれる「ペラ・パレス・ホテル」など、ロマンとミステリー溢れるオリエント・エクスプレスの足跡を巡ります。
- 夢の豪華列車「オリエント急行」
- オリエント急行の終着駅「シルケジ駅」
- 海峡横断地下鉄「マルマライ」
- トルコ伝統菓子「キュネフェ」
- 世界で2番目に古い地下鉄「テュネル」
- 栄光の19世紀「ペラ・パレス・ホテル」
- 絶品!ムール貝ピラフ
夢の豪華列車「オリエント急行」
■ パリ〜イスタンブールまでヨーロッパ横断
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、パリからイスタンブールに至るまで、ヨーロッパ大陸を走り抜けた「オリエント急行」。
豪華な寝台車に、ダイニングカーでの優雅な食事など、最高級の設備とサービスで、贅沢で快適な旅を実現。当時の著名人や富豪たちを魅了した長距離寝台列車です。
さらに、アガサ・クリスティの代表作『オリエント急行の殺人』において、このオリエント急行が舞台になるなどなど、多くの小説や映画にも登場。
歴史とロマン、ミステリーを掻き立ててやまない存在として、人気を博しました。
オリエント急行の終着駅「シルケジ駅」
■ シルケジ駅の旧駅舎
旧市街の中心地「スルタンアフメト(Sultanahmet)」からトラムで2駅目の「シルケジ(Sirkeci)」。
トラム駅のちょうど向かいに、シルケジ鉄道駅の旧駅舎が建っています。
1890年に完成した石造りの駅舎は、ドイツ人建築家August Jasmundによる設計。オスマン建築と西洋建築の折衷スタイルで、ボーダー状に配された赤レンガ壁が印象的です。
旧駅舎の横には、1874年に製造されたドイツ・クラウス社製の蒸気機関車が展示。初期のオリエント急行で使用されたものの一つとされています。
Sirkeci Train Station
■ 栄光の残照!正面入口&プラットフォーム
一般公開されている駅舎内は、無料で出入り自由。
金角湾に面した中央正面のエントランスホールは、見事なステンドグラスに彩られた大空間。イスラム風の馬蹄形アーチと、美しく調和しています。
ホールの先には、プラットフォーム。
1977年5月22日、このシルケジ駅から出発したオリエント急行が、イスタンブールを発着するオリエント急行の最終列車となりました。
鉄道旅行の黄金期、乗客たちが行き交ったであろう構内も、今では人通りもまばら。シーンと静まり返ったホームで、柱時計だけが寡黙に時を刻んでいます。
プラットフォームの横で営業中のレストランは、その名も「オリエント・エクスプレス」。
ただ食器や料理は、オリエント急行のものというわけではなく、一般的なトルコ料理の模様。
このときの時刻が15時前と、ランチにもディナーにも中途半端な時間帯だったので、レストランでの食事は見送りとなりました。
Orient Express Restaurant
■ 入場無料の「イスタンブール鉄道博物館」
2005年、シルケジ旧駅舎の一画には、トルコ国鉄(TCDD)が管理する「イスタンブール鉄道博物館」がオープン。
スペースは、それほど広くはありませんが、鉄道に関する貴重な品々、資料や写真など約300点が展示されています。
入口の正面に置かれているのは、1955年頃シルケジーハルカリ間の近郊線を走っていた8027形電車の実物。
裏側にまわると、計器類が並ぶ運転席の内部を見ることができます。
大小さまざまな鉄道プレートや写真で埋め尽くされた壁面。
思ったよりも少なかったけれども、「オリエント急行」のコーナーもありました。
鉄道ファンのみならず、普通の観光客にとっても、興味深いスポットです。ちなみに入場無料。
Istanbul Railway Museum
海峡横断地下鉄「マルマライ」
■ シルケジ〜ユスキュダル間の海底トンネル
シルケジ旧駅舎の横には、ヨーロッパ側とアジア側を結ぶ地下鉄「マルマライ」への入口が設けられています。
マルマライ線で特に有名なのが、シルケジ駅からユスキュダル(Üsküdar)駅までの海峡横断区間。この区間では、ボスフォラスラス海峡の海底トンネルを通り抜け、両大陸をわずか数分で行き来します。
せっかくシルケジ駅にいるので、マルマライに乗車!ここでもイスタンブール・カードが利用可能。
電車が入ってきたとき、車両の落書きのひどさに一瞬ビビリましたが、プラットフォームや車内は、日本の地下鉄と変わらない雰囲気です。
ヨーロッパ側のシルケジ駅から、アジア側のユスキュダル駅まで4分ほどで到着。ユスキュダルでは、一旦外に出たものの、特に何をするわけでもなく、再びシルケジ駅へと戻りました。
地下鉄なので、外の景色を楽しむことはできませんが、フェリーでボスフォラス海峡を横断したときの所要時間は20分ほどだったので、早さではマルマライの圧倒的勝利!
トルコ伝統菓子「キュネフェ」
■ シルケジ駅前「Safa」で休憩
シルケジ駅を後にして、駅前交差点の一角にあるトルコ菓子専門店「Safa」でティータイム。
イスタンブール在住「アジアねこ散歩ch」さんがYouTubeで紹介していたお店です。
もちろんメニューにはバクラヴァもあったのですが、こちらでのお目当ては「キュネフェ」。
以前、シンガポールのアラブストリートにあるトルコ料理店で食べて美味しかったので、イスタンブールでも楽しみにしていたのです。
「カダイフ」と呼ばれる小麦粉で作られた極細麺を、パリパリになるまで焼き上げたスイーツで、中にはチーズが入っています。
バクラヴァ同様、キュネフェもシロップが掛かった極甘デザートなのですが、淡白なチーズとの組み合わせが新境地の美味しさ。本場のキュネフェを堪能いたしました。
Tatlıcı Safa
世界で2番目に古い地下鉄「テュネル」
シルケジ駅からオリエント急行つながりで、19世紀、イスタンブールに到着したヨーロッパ上流階級の定宿となっていたホテルにも行ってみることに。
■ 小高い丘に築かれた新市街
ホテルがあるのは新市街側ということで、まずトラムに乗って、「シルケジ」からガラタ橋の反対側に位置する「カラキョイ(Karakoy)」へと移動。
ガラタ塔がそびえる小高い丘の上に築かれた新市街は、麓から頂上まで心臓破りの坂道が続いています。
■ 片道1分半!地下ケーブルカー「Tünel」
1875年、街と発展とともに高まる公共交通ニーズによって、地下ケーブルカー「Tünel(テュネル)」が開業。
イギリスのロンドン地下鉄に次ぐ、世界で2番目に古い地下鉄として知られています。
テュネルの乗り場は、トラムのカラキョイ駅から、道路を挟んで、対角線上にあたる地点。トラムの出口近くに、向こう側へ渡る地下通路があります。
テュネルも、イスタンブールカード利用オッケー。
自動改札ゲートを抜けると、すぐの乗り場で待っていると、朱色とクリーム色のツートンカラーをした車両が入ってきました。
坂の下駅「カラキョイ」から上駅「ベイオール(Beyoglu)」まで、全長573m・高低差60mの坂道を、片道約1分半で結ぶテュネル。
走行中、単線から一部複線になるトンネルの中間地点で、上下列車がすれ違うのが見えます。
頂上のベイオール駅に到着。坂の勾配ぶりを物語る床面の傾斜におののきながら、出口へと向かいます。
栄光の19世紀「ペラ・パレス・ホテル」
■ 1982年創業!ベル・エポックの殿堂
オスマン帝国時代の19世紀、ヨーロッパ各国の大使館や銀行などが立ち並ぶ外国人居住区として栄えたベイオール地区。
都であるコンスタンティノープルから見ると、金角湾の対岸に位置しているため、20世紀初頭までは、ギリシャ語で「向こう、反対」を意味する「ペラ(Pera)」と呼ばれていたそうです。
この新市街の高台に建つのが、1892年に完成した「ペラ・パレス・ホテル(Pera Palace Hotel)」。
ネオ・クラシック様式の重厚な外観に、アールヌーボーやオリエンタリズムなど当代きっての装飾美を極めた豪華な内部。19世紀、イスタンブール随一の最高級ホテルと謳われました。
■ アガサ・クリスティが宿泊した411号室
小説家アーネスト・ヘミングウェイや、映画監督アルフレッド・ヒッチコックや女優グレタ・ガルボなど、数多くの賓客たちを迎え入れてきた「ペラ・パレス・ホテル」。
ミステリー作家アガサ・クリスティー(Agatha Christie)も、そのなかの一人。
初めてオリエント急行に乗車した1928年以降、数回にわたってイスタンブールを訪問・滞在した彼女が定宿としたのも「ペラ・パレス・ホテル」でした。
ホテルに滞在中に執筆されたのが、かの有名な『オリエント急行殺人事件』。
名探偵ポアロが、オリエント急行で起きた殺人事件の真相に迫るというミステリーの金字塔です。
彼女が滞在した411号室は、アガサ・クリスティー・ルームとして、予約・宿泊が可能。
Pera Palace Hotel
★★★★★
地図 Meşrutiyet Cad, No:52 Tepebaşı, 34430 İstanbul, Türkiye
エリア ベイオール地区
空室・料金チェック
Agoda | Expedia | Booking |
絶品!ムール貝ピラフ
■ 新市街にあるミディエ・ドルマ専門店
「ペラ・パレス・ホテル」から、イスティクラル通りへとつながる脇道を歩くこと3分。
両側に並ぶ素敵なレストランに目移りしながらも、トルコの定番グルメ「ミディエ・ドルマ」の専門店「Asmali Pera Mydye」にやってきました。
「ミディエ・ドルマ(Midye Dolma)」とは、ピラフをムール貝の殻に詰めた軽食で、イスタンブールやイズミルなどの沿岸部で定番の屋台料理。
新市街を散策中も、売っている露店を何軒か見かけたのですが、万が一の食あたりのリスクを避けるために、レストランを選択。
カウンターに並ぶ山盛りのミディエは、フレーバーが4種類。1個から注文できるとのことだったので、一人あたりクラシック5個と、スペシャルソース5個を注文。
ムール貝の旨味とハーブの香りが詰まったシーフード・ピラフは、日本人好みの味!たっぷりとレモンを絞って、後味も爽やか!
トルコ滞在中、肉料理が続きがちなときの箸休め的な食事としても、おすすめです。
Asmali Pera Midye
アジアとヨーロッパが交錯する東西文明の十字路トルコ。
19世紀、「オリエント急行」で旅した乗客たちが到着したヨーロッパ最果ての地イスタンブール。
「シルケジ駅」や「ペラ・パレス・ホテル」など、当時の旅人たちの足跡をたどりながら、華やかなりし時代に思いを馳せたひとときでした。
広告